2022/04/10
派遣

派遣会社の仕組みとは?派遣社員の実態やメリット・デメリットも解説

この記事を読むのに必要な時間は約 17 分です。

派遣会社とはどんな会社なのかは知っていても、派遣の仕組みについてきちんと理解している人は多くないかと思います。

派遣のお仕事を始めるにあたって、派遣の仕組みを理解することは大事なことです。

本記事では正社員と派遣社員の雇用の仕組み・派遣の種類別の仕組みから派遣社員の実態やメリット・デメリットなどをしっかり解説してまいります。

派遣会社とは

派遣で働くことを検討している方の中には、「派遣会社とはどういったものか」「正社員との違いは?」など、疑問に思うことも多いかもしれません。

ここでは、そんな疑問にお答えしていきます。

派遣会社に雇用された派遣社員が、派遣先で働く

派遣で働くためには、まずは派遣会社への登録が必要です。

派遣社員とは、派遣会社と雇用契約を結び、派遣先の企業で働くことになります。

派遣社員で働く場合は、残業がなく自分の都合に合わせた働き方ができたりなど、さまざまなメリットがありますよ。

派遣社員で働くことのメリットについては、後ほど詳しくご紹介します。

正社員と派遣社員の違いとは

正社員と派遣社員とでは、

  • ・雇用主
  • ・雇用形態
  • ・契約期間
  • ・勤務時間や休日など

のいずれも異なってきます。

正社員は基本的に、企業が従業員と直接的に雇用契約を結び、その企業の正社員として働く「直接雇用」の形態を指します。

企業が従業員を正式に雇用したのちにさまざまな支社に配属になることがありますが、その場合においてもその会社の1支店に異動になっただけなので、雇用形態自体が変わるわけではありません。正社員は直接雇用なので、給料も雇用主である企業から支払われます。

上記の直接雇用の形態を取る正社員に対し、派遣社員は派遣先の企業と直接的に雇用契約を結ぶわけではなく、派遣会社と派遣社員が雇用契約を結んだのちに、その派遣社員が派遣先の企業に配属となる「派遣雇用」の形態を指します。

そのため、派遣先の企業と派遣社員自体が雇用契約を結ぶわけではありません。こちらの給与に関しては派遣雇用なので、派遣先の企業ではなく雇用主である派遣会社から支払われます。

【種類別】人材派遣の仕組み

「人材派遣」と一言で言ってもさまざまな種類があり、大まかに分けると登録型派遣、無期雇用派遣、紹介予定派遣の3形態があります。

ここでは、その3形態について詳細に説明していきましょう。

登録型派遣

登録型派遣は最も一般的な派遣形態です。

派遣会社があらかじめ派遣希望者を派遣社員(この段階での扱いはあくまで登録であり雇用契約は結ばない)として登録・ストックしておき、その後派遣先企業からの人材派遣の要請に応じて、マッチングした人材を派遣雇用という形で初めて雇用契約を結ぶ形態です。

派遣には「派遣法」というルールがあり、同一部署への派遣は3年を上限とする決まりがあるため、通常は期限を定めての派遣という形になります。この派遣法の例外として、満期ごとに部署を変えて同一人物の派遣を継続することは可能です。

無期雇用派遣

無期雇用派遣とは、期限を決めて派遣を行う登録型派遣とは違い、「派遣社員は派遣会社の正社員となり、派遣会社の正社員という立場のまま派遣される」というものです。

また、給与形態においても、登録型派遣の場合の派遣社員は派遣会社の正社員ではないため、派遣されていない期間は無給となります。これに対して無期雇用派遣の場合は、派遣会社の正社員のため仮に派遣されていない期間であっても給料が発生するのがメリットです。

紹介予定派遣

紹介予定派遣は、一定の派遣期間の後、派遣先企業と雇用契約を結ぶことを前提とした派遣形態です。

派遣法において紹介予定派遣の期間の上限は6ヶ月と定められており、この期間内で派遣を行います。この場合における派遣先との雇用契約の種類は、正社員もしくは契約社員となっています。

正社員やアルバイトなどは、実際に働いてみてから入社するかどうか決めることはなかなか難しいですよね。

紹介予定派遣なら、求職者は自分に合った仕事かじっくりと見極めることができ、企業側は実際の働きぶりを見てから正式採用するかどうか決めることができます。

人材派遣会社の利益はどのように発生する?

派遣会社はスタッフを雇用し、そのスタッフを企業に斡旋するのが仕事です。

そして、企業に斡旋した後も引き続きスタッフのマネジメントを請け負うことで、派遣料金を受け取るという仕組みになっています。

企業が求人を募り、優秀な人材を採用するに至るまでには、求人広告を出すコストや時間など莫大な労力がかかるもの。しかし、派遣会社に斡旋を依頼すると、時間や労力をかけずに優秀なスタッフを受け入れることができるのです。

企業側にとっては、派遣社員は即戦力になりますし、求職者側も自由な働き方ができたり派遣会社のサポートを受けることができ、双方にとってプラスの関係となっています。

派遣会社は、こういった双方の関係をよりよく保たないと利益が発生しないので、求職活動から、仕事が決まった後までサポートしてくれるでしょう。

派遣会社の派遣社員として働く仕事内容とは

派遣社員として働いている方が多い職種は、比率では事務職が多くなっています。

事務職は初心者や未経験者でも始めやすく、派遣の一般事務は正社員の補助的な仕事が多いようです。そのため、専門的な知識や高いスキルを求められることは少ない企業が多く、プライベートも大切にしたい派遣社員には人気の職種となっています。

その他の職種は倉庫・工場の軽作業や、コールセンター勤務が多く、こちらも初心者・未経験者でも初めやすいのがメリットでしょう。

専門知識の必要なエンジニアなどで活躍している方も多く、こういったスキルのある方は仕事も決まりやすいようです。

また、派遣社員としてなら正社員入社が難しい大手企業で働けることもあり、仕事のスキルを磨きたいといった方にもおすすめですよ。

派遣会社の派遣社員として働く人の実態

ここでは、派遣社員として働く人々について、仕事内容や年収、男女比や年齢など、派遣社員の実態について記載していきます。

仕事内容

仕事内容についてですが、さまざまな業種において派遣の仕事があります。販売員やドライバー、工場など、実に幅広い業種から自分の分野を選択できます。

給料・年収

派遣社員の給料・年収ですが、株式会社マンパワーの調査によると、男女混合での平均月収が27万円、平均年収が328万円。男女別では男性平均年収が366.6万円、女性が289.6万円、その差額は77.0万円となっています。

さらに業種別平均年収で見ると、SE・プログラマー等が506.5万円、ユーザーサポート・ヘルプデスクが370.2万円と、業種によってかなりの差があることがわかりますね。

これらの給料は基本的に派遣先の企業が派遣会社に対し派遣費用として支払った料金のうち、必要経費を差し引いてから個々の派遣社員に支払われます。

一般社団法人日本人材派遣協会の調査によると、派遣料金の内訳は70%が派遣社員の賃金、13.7%が派遣会社諸経費、10.9%が社会保険料、4.2%が派遣社員有給休暇費用、1.2%が営業利益でした。

年齢・男女比

派遣社員の年齢や男女比についてですが、こちらも一般社団法人日本人材派遣協会の調査によると男女比においては全国141万人の派遣社員のうち、男性が56万人、女性が85万人というデータが出ています。

株式会社マイナビの調査によると、派遣社員の平均年齢は38.1歳となっていました。

派遣会社の派遣社員として働くメリット

ここからは、派遣社員として働くことのメリットを3つご紹介します。

デメリットもご紹介するので、派遣社員として働こうか検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

有名企業で働くことも可能

正社員と違い、派遣社員では数段階に及ぶ入社試験に合格する必要はありません。

正社員であれば、学歴から審査が入り、試験や数段階の面接を受け内定に辿り着かなければなりませんが、派遣社員では派遣会社に対する登録だけで済むパターンもあります。

有名企業で働く事だけを考えると、正社員と比べ難易度は高くないでしょう。もちろん有名企業が派遣を依頼する場合はそれ相応のスキルや実務経験を求めるため、誰でもOKというわけではありません。

スキルアップのためのサポートが受けられる

派遣会社にとって、たくさんの企業に次々と派遣社員を送り出さなければ利益がでません。

それにも拘らず、登録された派遣社員のスキルが全員低かったとしたら、派遣会社は質の良い派遣社員を提供できず、信用を失い契約を失ってしまいます。そのようなことにならないために、各派遣会社は派遣社員に対してスキルアップのサポートを行っていることが多いです。このようなスキルアップのサポートを受けられるのは派遣会社の強みの1つだと言えるでしょう。

都合に合わせた働き方ができる

正社員と違い、派遣社員ではさまざまな条件や時間を選択できる(業種による)ので、自分のライフスタイルに合わせた働き方を選択することができます。

近年ではフレックスタイム制を導入している企業も増えてきたため、より自由な働き方を選択できるようになりました。フレックスタイム制とは、日々の始業時間や終業時間を自分で選択できる制度です。

派遣会社の派遣社員として働くデメリット

派遣社員として働くメリットに魅力を感じる方は多いと思います。

しかし少なからずデメリットも存在するので、事前に知っておきましょう。

重要、高度な仕事は任せてもらいにくい

当然ですが、派遣社員はあくまで派遣社員であり、その企業の正規従業員ではありません。簡単に言うと、その企業の中で「この業務に関してはうちの社員を回さなくてもできるよね」という業務において派遣社員を要請することがほとんどです。

中には社員の中に専門職要員がいないため、専門職として派遣されることもあるでしょう。しかし、いずれの場合においても会社の中核業務や高度な仕事に正社員以外を就かせることは企業にとってリスクが伴うため、任せてもらえることは少ないようです。

契約が終わると仕事がなくなる

無期雇用派遣や紹介予定派遣ではそのようなことはありませんが、基本的な派遣形態では派遣期間が決まっているため、その期間を終えるとその会社では働くことができなくなり、言わば無職状態となります。

運良くすぐに次の派遣先が見つかればいいですが、場合によっては派遣要請自体が無い、または自分のスキルに見合った仕事が無いこともあり、仕事が無い状態が続いてしまうこともあるかもしれません。

収入は安定しない

上記で記載した通り、仕事が無い状態があることや派遣先によって給料が変わることなどを考えると、派遣社員は収入面において非常に不安定な状態であると言えます。
特別なスキルや職務経験を持っていればいるほど収入は増え、安定する傾向にあるため、派遣社員は派遣として働きながら常に自分のスキルを向上させていく必要があるでしょう。

正社員よりも派遣の方がいい人の特徴

ここでは、個々の特徴に応じて正社員よりも派遣社員が向いている場合について説明していきます。

スキルアップしたい

派遣社員は正社員とは違い特定業務のみを任されることになるため、経営学上のジョブ・ローテーション(さまざまな部署を定期的に異動し全体的な知見・視野を身につけるもの)によるゼネラリストとしてのスキルアップではなく、特定業務に集中することによりスペシャリストとしてスキルアップを目指すことができます。

先述したように派遣社員業界においては特定業務の派遣要請が非常に多いため、「手広く何でもできます」というよりも「○○の業務に関して専門的な知識や実務を有しています」という方が強い場合が多いです。そのため、特定のスキルアップをしたい場合においては正社員よりも有利と言えるでしょう。

趣味や習い事をする時間もしっかり欲しい

派遣社員の場合、「残業の有無」などを限定して派遣先を決定することもできるため、私生活を充実させたいという方には非常に向いています。

正社員の場合はそのような事を言ってもいられず、どうしても仕事メインの生活になってしまうことが多いです。

派遣社員の場合は自分のスタイルに応じて、副業として空いた時間に働きたい場合や、学業や家の都合で勤務時間が限定されているという場合においても柔軟に決定することができるでしょう。

派遣会社の派遣社員に関するよくある質問

今回は、派遣会社の仕組みや、派遣社員として働くことのメリットやデメリットなどをご紹介しました。

最後に、派遣社員として働く上で、よくある質問をご紹介します。

福利厚生はどうなる?

福利厚生には雇用形態は関係なく、派遣社員でも、もちろん福利厚生を受けることができます。

福利厚生には社会保険(雇用保険・厚生年金保険・健康保険・介護保険・労災保険)がありますが、それぞれの加入条件を満たしていれば加入することができるので見てみましょう。

雇用保険

  • 1週間で20時間以上の所定労働時間がある
  • 31日以上の雇用が見込まれる

厚生年金保険・健康保険

  • 1週間で30時間以上所定労働時間がある
  • 従業員501人以上の会社で週20時間以上の労働時間がある

※労使で合意があれば従業員500人以下の会社でもOK

介護保険

  • 40歳になると加入が義務付けられる

労災保険

  • 加入条件なく適用される

その他にも有給休暇や産休・育休、健康診断、資格取得のためのサポートなど、派遣会社ごとに異なる福利厚生もあります。

派遣会社によって扱っているサポートが異なるので、気になることがあれば派遣会社に問い合わせてみてください。

雇用先に給料交渉や相談はできる?

雇用先に給料交渉や相談はもちろんすることができます。

しかし、注意しておきたいのは、派遣社員が雇用されているのは勤務先の企業ではなく、派遣会社です。

給料の交渉や仕事に関しての相談は、必ず派遣会社側にしてください。

相談を受けてから、企業側と実際に給料の交渉をするのは派遣会社の担当者です。働いてからすぐの交渉は失敗する可能性もあるので、自分のスキルや仕事環境を踏まえてから交渉してみましょう。

派遣社員でも残業代は出る?

派遣社員は正社員とは異なり、時給で労働契約をするので、勤務時間が明確に決まっています。そのため、残業なしの求人がとても多いです。
しかし、元々残業なしの契約でも繁忙期には残業を頼まれることもあるかもしれません。
労働基準法では、法廷労働時間(休憩時間を除いた実労働時間)を原則として「1日8時間、1週間で40時間まで」と定められています。
この時間を超えて働いた場合は「残業」とされ、派遣社員であっても、もちろん残業代は出るので安心してください。

「残業は絶対にしたくない」「残業してもいいからお金を稼ぎたい」という希望がある場合は、必ず事前に派遣会社に相談しましょう。
雇用契約書に残業はできない旨の記載がある場合は、企業は残業を頼むことはできません。事前に必ず雇用契約書や労働条件通知書を確認してみてください。

まとめ:派遣社員として働く前に仕組みを理解しておこう

今回は、派遣会社の仕組みから人材派遣の種類、派遣で働くことのメリットやデメリットなどを詳しくご紹介しました。

このように、派遣社員と一重に言ってもさまざまな種類があります。この記事を参考に、自分に合う派遣の形態はなにか、業種やスタイルはなにかをしっかりと理解して、自分のライフスタイルを充実させていきましょう。

派遣バイトで働く前の準備についてもっと知りたい方は、以下をチェックしてみてください。

執筆者

baito-note編集部

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