2022/11/01
フォークリフト

フォークリフトの運転や操作のコツは?上手・下手な人の特徴も解説

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フォークリフト

フォークリフトを扱う仕事をしているけれど、「いまいちコツが掴めない」「操縦に自信がない」といった不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、フォークリフトを運転するときのコツとリフト操作のコツを合わせてご紹介します。運転が上手い人・運転が苦手な人の特徴、フォークリフトは何故運転が難しいのかも解説するので、ぜひ参考にしてみてください。フォークリフトの運転のコツをしっかりと押さえて、楽しく働きましょう。

まず知っておくべき!フォークリフトの種類

フォークリフトを上手に運転するためには、まずフォークリフトの特性を理解しておく必要があります。本項目では、フォークリフト2種類の紹介と、各式フォークリフトの操作方法や手順を解説していきます。

フォークリフトの特性から、上手なハンドル操作やレバー操作のコツを学びましょう。

リーチフォークリフト

リーチフォークリフトは運転席がついていない、立ったまま操縦できるリフト形式です。フォークリフトの要である爪の操作は、立ったままレバーで行います。

リーチ式は運転席がないので車体が小さく、狭い倉庫内で小回りがきくのが特徴です。

また、リーチフォークリフトは全て動力源がバッテリーのため、屋内専用の型式ですが走行音が静かで排気ガスが出ません。

カウンターフォークリフト

カウンターフォークリフトは運転席がついており、ハンドル操作で操縦します。車と同じ要領で運転操作できるのが特徴です。

カウンター式は運転席がついているので車体が大きく、1トン以上の重さがある荷物も運搬できます。動力源はバッテリー式とエンジン式があり、屋内外問わず使用可能です。

多くの工場で使用されているのはカウンターフォークリフトで、車の運転に近い感覚で運転ができることから、習得しやすいフォークリフトともいえます。

フォークリフト運転の7つのコツ

フォークリフトの種類は、立って操縦するものから座って車感覚で操縦するものまで、さまざまです。しかし、乗り方や動かし方こそ違えど、上手な運転をするために必要なテクニックは共通しています。

本項目では、フォークリフト上級者を目指すために知っておきたい7つのコツをご紹介します。運転が上手くなる方法を身につけて、手足のようにスイスイ操作できるようになりましょう。

水平ボタンを活用する

フォークリフトの種類によっては「水平ボタン」が装備されています。

水平ボタンがある場合は、あまり水平感覚が身に付いていない方でも簡単にリフト部分を水平にできる機能です。

リフト部分を水平にする操作は、慣れるまではどうしても時間がかかってしまいますので、便利ツールをどんどん活用していきましょう。

車と同様の感覚でハンドルを握らない

車と同じ操作のフォークリフトですが、ハンドルの回し方には注意が必要です。

フォークリフトは方向転換の際に後輪がメインで稼働する「後輪操舵」の乗り物です。後輪がメインで稼働する場合、ハンドルを大きく操作すると外輪差の発生から車体を大きく振ってしまい、事故や荷物の落下に直結します。

普通自動車とは異なり、ハンドルは「小刻みに操作」が必要ですので、急ハンドルは厳禁です。

スライド機能がある場合はしっかり活用する

フォークリフトの種類によっては「スライド機能」が備わっています。

スライド機能は、荷物を積み込む時に荷物がズレてしまった場合に、車体を移動せずその場で位置修正を行える機能です。

スライド機能がある車体では、荷物のズレを解消する際に車体をバックして修正する手間が省けます。ステップアップして効率化を目指す場合にはぜひ活用しましょう。

同時操作は絶対に行わない

操作に慣れてくると、複数の操作を同時に行うことが可能です。しかし、走行しながらのリフト操作や同時操作は、大きな事故につながりかねません。

罰則こそありませんが、現場によっては同時操作を禁じる規則を設けている会社もあります。上手な操縦者ほど基本に忠実です。慣れてきたからこそ「基本手順」を遵守して操作しましょう。

荷物を運搬する際はバック走行にする

フォークリフトは荷物を積むと前方が見えなくなります。そのため、荷物を積んでいる時はバック走行をするのが基本です。バック走行をすると視界が明瞭になる他、サイレンが鳴るため、走行を周囲に知らせることが可能です。しかし、バック走行で曲がろうとすると、遠心力などで荷物が落ちてしまうことがあるので、荷物から目を離さないように注意しながら運転をする必要があります。

とにかく運転してその機種に慣れる

フォークリフト初心者の場合、基本的な知識はもちろん必要ですが、乗りこなして上級者を目指すためには実技練習が欠かせません。

マニュアル遵守は必須ですが、実際の操作感やマニュアルにはない荷物の運搬技術は実践において初めて身につくものです。何度も運転操作を繰り返して、身体に操作方法やテクニックを叩き込みましょう。

車両の特性をしっかりと意識する

繰り返しになりますが、フォークリフトは普通自動車とは異なり「外輪差」が発生します。

普通自動車の場合は「内輪差」が起こるので、方向転換の際には左前のタイヤに意識を向ける必要があります。しかし、フォークリフトは方向転換をする際に後輪が動くことを頭に入れておかなければいけません。前輪が曲がりたい地点に辿りついた時にハンドルをきるようにすると、上手く操縦できるでしょう。

車両の特性を知った上で、ハンドル操作や周囲に気を配ると、運転技術が上達します。

リフト操作のコツ

ここまで、フォークリフトの運転のコツをご紹介しましたが、フォークリフトは運転技術だけでなくリフトの操作技術も必要です。ここからは、リフト操作のコツを見ていきましょう。

パレットを使い分ける

フォークリフトでは、荷物を運ぶときに「パレット」という「すのこ状の板」に爪を差し込んで持ち上げます。このパレットは材質によって特徴があるため、扱う荷物などによって使い分けられると、操作がしやすくなるでしょう。パレットの種類は、主に下記の3つです。

・木製パレット

木製のパレットは丈夫で壊れにくく、重い荷物を運ぶのに適しています。木材なので湿気に弱いというデメリットがありますが、傷んだ部分だけを修理して使うことが可能なため、多くの工場で重宝されている材質です。

・合成樹脂製パレット

合成樹脂製パレットは木製パレットとは異なり、湿気に強いのが特徴です。耐久性にも優れており、長持ちしやすい材質といえます。湿気が多いところでも使用できることから、導入している工場も多いです。しかし、破損部分の修理は木製パレットより費用がかかります。

・金属製パレット

金属製のパレットは3種類のパレットの中でもっとも壊れにくく頑丈なパレットです。耐久性に優れていて長期間使用できることから、航空輸送などの現場でよく使用されています。他のパレットよりも先の部分が重いため、慣れるまでに少し時間がかかるでしょう。

このように、パレットにはそれぞれ特徴があるので、特性を理解しながら使い分けると安全に使いこなせます。

上げ降ろし作業は2段階で行う

リフトは、まず爪を水平に保つことが大切です。爪が水平になっていないと、走行中にずり落ちてしまったり、爪を抜き差しするときに商品に刺さってしまったりする可能性があります。爪の幅も、広すぎず狭すぎないように一定の幅をキープするのを意識してください。

また、荷物の上げ降ろしをする際は、2段階に分けてゆっくり行うようにすると、失敗をしにくいです。

荷物を持ち上げる時は、「少し手前に動かす」「パレットに爪を指してから持ち上げる」という2段階で行います。反対に、荷物を降ろす時は、「一旦仮置きをする」「置きたい場所の中心に置き直す」という2段階に分けて作業をするようにしてください。

急いでいる際は、走行しながらリフトの操作をしてしまうこともあるかもしれませんが、操作ミスをするリスクや荷物を落とすリスクが高くなるので、フォークリフトの操作をするときは手順を1つ1つ順番に踏んでいくようにしましょう。

フォークリフト運転が上手い人の特徴

フォークリフトの操縦が上手な人は、上記で解説したようなコツを掴んでいるだけでなく、「性格」にも特徴があります。

運転が上手い人は「慎重かつ丁寧」な性格で、慣れていても荒々しい運転はせず、的確なコントロールによって効率的に荷物を運搬しているのです。

フォークリフトは、丁寧な運転操作を心がけることが上達への最短距離といえます。フォークリフトの特性を理解した上で、作業を雑に行わないように注意しましょう。

基礎を忘れない

フォークリフト上達に欠かせないポイントは「基本に忠実であること」です。

フォークリフトの基本情報の把握はもちろん、基本的な操作手順や禁止事項を守らなければ上達は見込めません。

慣れてきた頃こそ「初心」を思い出し、基本操作に忠実であることが上達のチャンスです。

周囲をよく観察している

フォークリフトは、操作を誤ると大きな事故につながりかねません。事故を防ぐために常に周囲を観察して注意深く運転できる方のほうが、上達は早くなりやすいです。

危機察知能力はフォークリフトの操作に必要不可欠な要素ですから「人が出てくるかもしれない」など、常に「かもしれない運転」を意識して車体操作を行いましょう。

良い雰囲気の職場にいる

職場が殺伐としていると、プレッシャーから事故や失敗につながりやすくなります。適度な緊張感は必要ですが、ピリピリとした環境では緊張して力が発揮できず、なかなか成長につながりません。

職場の雰囲気が朗らかで安心できるという方は、のびのびと仕事ができて成長も早い傾向にあります。

トラックの荷台の広さにも詳しい

フォークリフトを使ってトラックに荷物を載せる機会は非常に多くあります。したがって、荷物の大きさとトラックの荷台の広さに意識を向けると、より的確な操作が可能です。フォークリフトを使って荷物を運ぶ先のことも意識すると、より操作が上達するでしょう。

フォークリフト運転が下手な人の特徴

フォークリフトの上達には、危機管理能力を持って基礎を守りながら運転することが大切というのが分かりました。では反対に「なかなか運転技術が向上しない人」にはどのような要因があるのでしょうか。

本項目では、フォークリフトの運転が下手な人に見られる特徴を解説します。普段の操作をイメージして、当てはまる項目がないか確認してみましょう。

急ブレーキ・急発進している

フォークリフト操作に「急ブレーキ・急発進」は厳禁です。フォークリフトを運転していると、どうしても運んでいる荷物のほうに意識が回ってしまい、周囲に積んである荷物まで注目できない場合があります。しかし、急旋回や急ブレーキを行うと車体の転倒や荷物の落下につながります。

仕事にスピード感は重要ですが、ハンドル操作やブレーキ操作のスピード感は必要ありません。スピード感は爪の抜き差しや荷降ろしで重視しましょう。あくまで、「安全運転」を意識して運転するようにしてください。

上限重量を把握できていない

フォークリフトは重いものを運べるのが特徴ですが、1度にものを運べる上限重量が決まっています。重量上限を超えていても動かすことは可能ですが、上限を超えて荷物を積載すると安全性が失われますし、フォークリフトがスムーズに動かなくなるので非効率的です。

フォークリフトをスムーズに運転するためには、上限重量を把握しておく必要があります。フォークリフトには上限を確認できる「許容荷重表」がついていますから、必ず確認して最適な重量で運搬しましょう。

原因を考えない

リフト操作に失敗した時は、「なぜ失敗したんだろう」と原因を考えるようにしてください。「なぜこうなったのか」と原因分析することでミスの根本を把握できれば、同じ失敗を防げるだけでなく、技術向上に活かすことができます。

フォークリフトの運転に限った話ではありませんが、ミスをした時には必ず原因を突き止めて、同じ失敗を繰り返さないようにしましょう。

フォークリフトは何故運転しにくいと感じるのか?

「車は問題なく運転できるのに、フォークリフトはいつまで経っても上達しない」とお悩みの方は多いと思います。

車の運転はハンドル操作で車体を操作するだけですが、フォークリフトは車体操作と荷物の操作を同時に行うため、より複雑なテクニックが必要です。

したがって、フォークリフトを上手く操作するためには、曲がり方や実際に曲がるタイミングを見定める運転テクニック以外に、荷物の積み込みや戻し方を実践で身につけなければいけません。

本項目ではフォークリフトが難しいと感じる理由を3つ詳しく解説します。

運転に慣れるまでの時間が長い

フォークリフトの免許合格率は98%超となっており、ほぼ確実に免許は取得可能です。

しかし、免許を取得しても、実際に上手く乗りこなせるまでには最低でも1年程かかります。免許を取った後に職場でフォークリフトを運転すれば上達していきますが、「免許は取れたけど、なかなか実践できる機会が少ない」というケースも少なくないでしょう。こういった方は、運転に慣れるまでに時間を要し、技術も身につきません。

また、「車体の運転はできても荷物が上手く扱えない」というフォークリフトならではの悩みに直面し、フォークリフトを難しいと感じる方が多いです。

資格を取得する必要がある

フォークリフトの免許は簡単に取得できます、取得には1週間程度の日数が必要です。免許を持っていない人がフォークリフトを運転してしまうと、法律で罰せられる決まりがあるので、必ず免許を取るようにしてください。

しかし、仕事の合間をぬって免許取得に行くのが「面倒」と感じる場合は、フォークリフトに対しての敷居が高くなります。

フォークリフトは簡単に免許を取れる上に国家資格なので、取得すれば自信やスキルアップにつながります。取得に行くのが少し面倒だとしても、ぜひ挑戦してみてください。

操作だけでなくスピードや的確性も重要になる

フォークリフトを実践で乗りこなすためには、基本的な操作方法だけでなく、スピーディーかつ安全に荷物を運搬するテクニックが求められます。スピードや的確なコントロールは実践していく中で身に付くスキルなので、やはりフォークリフトを乗りこなすためには実践あるのみです。

最初は誰もが上手く乗りこなせず悩みますが、一定の経験を積めば「コツが分かったかも」と、突然しっくり来る日が来ます。

日々実践練習を積み、コツが掴める日を待ちましょう。

フォークリフト免許について詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。

まとめ

今回の記事ではフォークリフト技術が上達せず悩む方に向けて、フォークリフトの特徴を改めて確認した上でコツを掴める方法を解説しました。

フォークリフトは免許の取得こそ容易ですが、実戦経験を積まなければ上達は見込めません。実戦経験の中で今回ご紹介したポイントを意識すると「分かってきたかも」とピンと来る日が来るはずです。

せっかく免許を取得したのですから、ぜひ練習を積んでフォークリフト上級者を目指しましょう。

フォークリフトについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。

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